こんにちは!
行政書士の梅田です!
今回のコラムでは以前お問い合わせいただいたことのある「日本政策金融公庫の融資で面談前に否決はあるのか」という内容でお話をします!
結論、創業計画書などの書類の内容次第ではありえるということになります。
面談に進むことができないケースがいくつかあります。
例えば、
・規定の書類を提出できていない、もしくは不十分である
・条件を満たしていない
・面談の日程調整ができない
などが考えられます。
日本政策金融公庫の融資申込段階でいくつかの提出しなければならない書類があります。
例えば、
・借入申込書
・個人営業の方
最近2期分の申告決算書(申告されている方)
・法人営業の方
最近2期分の確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含みます。)
最近の試算表(決算後6ヵ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない方)
・見積書
・創業計画書(新たに事業を始める方または事業を開始して間もない方。)
・企業概要書
・法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人営業の方)
・運転免許証(両面)またはパスポート(顔写真のページおよび現住所等の記載のあるページ)
・許認可証
などがこれにあたります。
これらの提出書類に不備があると、面談前に否決もしくは、面談に進むまでに準備を求められます。
詳しくは日本政策金融公庫のHPでご確認ください。
この中でも特に重要なのが創業計画書です。
創業融資の審査は8割方創業計画書によるものであると考えていいです。
創業計画書が不十分であると面談での挽回は厳しく、面談前の否決も十分に考えられます。
ちなみに、日本政策金融公庫はA3一枚の簡易的な下記のフォーマットを公開してくれていますが、この一枚では最低限の内容もしくは不十分であることが大半です。
ここでは、面談前に否決になりにくい創業計画書を書くコツを簡単に紹介します。
創業の動機はとても重要な項目です。A4半分くらいの量を目安に書くと良いでしょう。
ポイントは以下のような点です。
1.熱意を伝えることが大切です。成り行きでの開業であることや即売却を考えているなど印象がわるくなるような記述は控え、自身の体験などから事業に対して社会的意義を見出したきっかけ等を書くと良いでしょう。
NG例)儲かりそうだと思ったから
OK例)〇〇の体験を通して、〇〇をすることが〇〇に貢献できると考え、自分の〇〇という経験を活かすことができると考え開業を決意しました。
金融機関は事業が成功するかどうかを創業者の経歴から判断することが多いです。A4一枚分程度を目安に書くと良いでしょう。
ポイントは以下のような点です。
1.ご自身のキャリアを単純に記載するのではなく、そこで何を学んだのか、この事業でどのように活かすことができるのかまで記載すると良いでしょう。
NG例)〇〇
OK例)〇〇として、〇〇をすることで〇〇のような能力を身に着けることができました。本事業では〇〇でこの能力を活かして〇〇することができると考えています。
2.直接事業に活かすことができる経歴がない場合でも少しでも関連性を見出す。
NG例)経験なし
OK例)本事業に直接的に活かせる経歴ではありませんが、中間管理職として部下を複数人まとめていた経験があり、今回の創業にあたっては円滑な組織構築を行い、スムーズに軌道に乗せることに役に立つと考えています。
他社との差別化ポイントや自社の強みをしっかりアピールしましょう。A4一枚~二枚程度を目安に書くと良いでしょう。ポイントは以下のような点です。
1.ターゲットを明確にすることが重要です。この層のお客様は必ず自社を利用してくれると自信を持って言える層を細分化して記載しましょう。その際、アンケートや市場調査等を行うと説得力が増します。
NG例)〇〇
OK例)〇〇から〇〇に向かう、〇〇というニーズを持つ、〇歳~〇歳の〇性
2.自社の強みや差別化ポイントが明確だと金融機関は事業の成功について納得感を持ってくれます。この際、競合他社となる相手の調査等を行うと説得力が増します。
NG例)価格が安い、おいしい
OK例)〇〇なため低価格で高品質なサービスを提供することができ、他社にはまねをすることができない〇〇という強みがあります。
資金使途や金額、返済期間は金融機関にとって重要な判断材料です。適切な金額を適切な用途で使用することをしっかり示しましょう。相見積もりを取って検討したことなどを伝えられると金額に納得感が生れて良いでしょう。
ポイントは以下のような点です。
1.借りれるだけ借りたい、返済期間は最長で、というような要望は通りません。見積書等の積算根拠を提示して妥当な金額を提示しましょう。
NG例)借りれるだけ
OK例)資金使途:設備資金800万円、運転資金200万円 調達方法:御行借入600万円、自己資金400万円 返済期間:7年(据置期間3カ月)
損益計画は月次で36か月分、それらをまとめて年次で3年分を作成しましょう。
ポイントは以下のような点です。
1.売上は算定根拠をしっかり示しましょう。売上を〇〇と〇〇に分解し、しっかり検討することが大切です。その他、変動要素のある人件費なども同様です。
NG例)12月売上:100万円
OK例)12月売上:客数〇人(席数〇席×回転数〇回)×客単価〇円=100万円
2.経費などは業界平均などを参考に厳しめに見積もりましょう。業界平均などとの乖離がある計画書を作成する場合はその根拠も併せて伝えられるようにしておきましょう。
業界平均を調べる際に参考になるのが業界別審査事典や日本政策金融公庫が公表している業界平均等です。
資金繰り表は損益計画では把握できない、現金ベースでのお金の残り方を把握するための計画書です。この計画を作ると金融機関への返済財源の明確化や黒字倒産の回避につながります。月次で36か月分を作成しましょう。ただし、難易度が非常に高く、フォーマットを入手しても作成できないケースがほとんどでしょう。
日本政策金融公庫のフォーマットには「資金繰り表の欄」がありません。
ポイントは以下のような点です。
1.掛け取引や手形取引などの入金や支払いのサイトがずれる取引を考慮して作成する。
2.損益計画には出てくる「減価償却」は含めない。
3.損益計画には出てこない「借入金返済」や「個人事業主の給料等」を含める。
当事務所では、これらのポイントを的確に押さえた創業計画書を作成することで融資による調達確度を高めています。
日本政策金融公庫の各融資制度にはご利用いただける方という条件が設けられているものがあります。
この要件を満たしていないとその融資制度には申し込むことができません。
ただし、それで否決になるわけではなく別の融資制度で申し込みなおしたり、融資担当者が別の制度を紹介してくれたりすることで申し込みが可能です。
各融資制度については日本政策金融公庫のHPでご確認ください。
日本政策金融公庫HPより
以前は、新創業融資制度(いわゆる創業融資)では、自己資金が1/10以上という条件がありましたが、現在は自己資金の要件は撤廃されており自己資金の有無に関係なく申込が可能になっております。だからといって自己資金0円で融資が実行されるかは別問題ですので、面談に進めるかどうかとういう基準でご参考にしてください。自己資金がいくらあればいいのかということは別のコラムで解説しています!
当然ながら、面談の日程を決めることができないと面談はできません。
日本政策金融公庫の融資では原則対面での面談が行われますので、対面での面談が行えるようにあらかじめ予定を調整しておきましょう。
まとめると、日本政策金融公庫の融資申し込みでは、創業計画書等の書類が不十分であったり、条件の不備、日程調整ができないなどのケースだと、面談に進めないことや書類審査の時点で否決されてしまうことがあるということになります。面談前に否決をされるようなケースの場合は、創業計画書の見直しなどを専門家に依頼することも検討しましょう。
開業に遅れをださないためにも面談にスムーズに進むことは非常に重要ですので、しっかり自分が申し込みたい融資制度について理解を深めておきましょう!
当事務所は、面談にスムーズに進むことができるよう書類の作成等をしっかりサポートいたします。
気になった方はぜひお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。